軽バンのタイヤの空気圧について調べている方の中には、「一体いくつが適正なのか」「空荷のときは下げてもいいのか」など、疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。とくに、エブリイやハイゼットカーゴ、Nバンといった軽貨物車を日常的に使っている方にとって、空気圧の管理は走行性能や安全性に直結する重要なポイントです。

この記事では、軽バンのタイヤの空気圧に関する基本的な考え方から、空荷時の調整方法、スタッドレスタイヤの扱い方、さらにインチアップや14インチタイヤへの変更時に注意すべき空気圧設定まで幅広く解説します。
車両や使用状況によって適正な空気圧は異なります。大切なのは「なんとなく」ではなく、具体的な状況や車種に応じた判断です。安全で快適な走行のためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
軽バンのタイヤの空気圧は?基本を解説

- タイヤの空気圧はどのくらいが適正か?
- 軽自動車のタイヤの適正空気圧は?
- 軽バンや軽貨物車の適正空気圧は?
- 空荷のときの注意点
- スタッドレスタイヤの空気圧の設定
- インチアップした時の空気圧の考え方
- 軽バンの主なスペック
タイヤの空気圧はどのくらいが適正か?

適正なタイヤの空気圧は、車両ごとに決まっており、必ずしもすべての車に共通する数値ではありません。最も正確なのは、メーカーが推奨する空気圧に従うことです。
この推奨値は、車の運転席ドアの内側や給油口付近に貼られているラベルに記載されています。そこには、通常時の空気圧と、最大積載時の空気圧の両方が表示されている場合もあります。
例えば軽自動車の場合、一般的には前輪が200~250kPa、後輪が250~350kPaの範囲で設定されていることが多いです。ただしこれは目安であり、実際には車種や使用状況(荷物の有無や乗車人数)によって適切な空気圧は変わります。
空気圧が適正よりも低いと、タイヤのたわみが大きくなり、燃費が悪化したり、偏った摩耗が進んだりします。逆に高すぎると、乗り心地が悪くなり、タイヤが跳ねてグリップ力が低下するおそれがあります。
このように、空気圧は安全性や走行性能に直結する重要な要素です。運転前や給油のタイミングでこまめにチェックし、定期的に適正値に調整するようにしましょう。
軽自動車のタイヤの適正空気圧は?

軽自動車のタイヤ空気圧は、車種や用途によって異なりますが、多くの場合で前輪は200〜250kPa、後輪は250〜300kPaが目安になります。これは乗用軽自動車として使う場合の基準です。
軽自動車には乗用タイプと貨物タイプがありますが、とくに貨物用(軽バンや軽トラック)の場合、積載重量を想定して後輪の空気圧が高めに設定されているケースが多いです。例えば、ホンダのN-VANでは前輪280kPa・後輪350kPaという設定がされています。
ただ、これは「最大積載」を前提とした値です。荷物をほとんど積まない状態でこのまま走行すると、タイヤが過度に硬くなり、跳ねるような乗り心地になったり、接地面が減ってグリップ力が低下する可能性があります。
そのため、日常的に荷物を積まない方や乗り心地を重視したい方は、前輪220kPa・後輪250kPa程度に下げることでバランスが取れることもあります。ただし、これは一例であり、タイヤの種類や車の使用状況によっても最適値は変わってきます。
適正な空気圧は車両のラベルや取扱説明書に明記されています。これを確認し、状況に応じて調整することが、タイヤの寿命や走行安全性を高めるうえで重要です。
軽バンや軽貨物車の適正空気圧は?

軽バンや軽貨物車は、乗用軽自動車と比べてタイヤ空気圧が高めに設定されています。これは積載を前提とした設計のためで、荷物の重さに耐える必要があるからです。
一般的な目安としては、前輪が250〜280kPa、後輪が300〜350kPa程度とされるケースが多く見られます。たとえば、スズキ・エブリイやホンダ・N-VANの純正指定空気圧は、前が280kPa、後が350kPaというように、後輪にかなり高い空気圧が求められます。
しかし、荷物をほとんど積まず、日常の移動中心で使う場合には、この空気圧設定では乗り心地が硬すぎたり、タイヤの接地面が不足してグリップ力が落ちる可能性もあります。そのため、軽貨物車であっても空荷が多い状況では前輪240kPa・後輪260kPa程度まで下げるという選択も現実的です。
注意したいのは、空気圧を安易に下げすぎると、積載時にタイヤが潰れてしまい、偏摩耗やパンク、燃費悪化を引き起こすリスクがあることです。空気圧はあくまで「使用状況に応じた調整」が基本となります。
軽貨物車の場合、空気圧は走行性能や耐荷重性を大きく左右します。毎日の用途を踏まえて調整することが、安全性と経済性を両立させるポイントです。
空荷のときの注意点

軽バンを空荷で走行する場合、タイヤ空気圧が高すぎると乗り心地や安全性に悪影響を与える可能性があります。空気圧は荷物の有無によって適正値が変わるため、状況に応じて調整することが重要です。
軽バンはもともと「荷物を積むこと」を前提に設計されているため、メーカーの推奨空気圧はやや高めに設定されています。たとえば、前輪280kPa・後輪350kPaのような設定が一般的です。しかし、何も積んでいない状態でこの空気圧のまま走行すると、後輪が跳ねやすくなり、車体の安定性が低下することがあります。
空荷での運転が中心の場合、空気圧を少し下げることでバランスが良くなることもあります。目安としては前輪240kPa・後輪260〜280kPa程度に設定すると、乗り心地がやわらぎ、タイヤの片減りも抑えやすくなります。
ただし、極端に下げすぎると今度はタイヤのたわみが大きくなり、燃費の悪化やハンドリングの不安定さが出る場合もあるため注意が必要です。
空荷状態が多い方は、使用前に車両に貼られている空気圧表示ラベルを確認し、積載量に応じて調整する習慣をつけておくとよいでしょう。走行距離や使用目的によってもベストな空気圧は変わるため、定期的なチェックと調整が不可欠です。
スタッドレスタイヤの空気圧の設定

スタッドレスタイヤを装着した軽バンでは、空気圧の設定に特に注意が必要です。冬用タイヤは構造上、気温が下がるとゴムが硬くなり、空気圧も低下しやすいためです。
一般的に、スタッドレスタイヤに交換した際は、通常の指定空気圧よりもやや高めに設定するのが推奨されます。これは気温の低下により空気が収縮し、実際の空気圧が下がりやすいためです。たとえば、通常時に前輪240kPa・後輪260kPaを基準としている場合、スタッドレスタイヤでは前輪260kPa・後輪280〜300kPa程度まで上げることがあります。
特に軽バンの場合、後輪の負荷が高くなることが多いため、リア側の空気圧が高めに設定されていることが一般的です。スタッドレスタイヤであっても、この前後のバランスは維持する必要があります。
また、スタッドレスタイヤは接地面積をしっかり確保することで氷雪路でのグリップ力を高める構造になっています。空気圧が高すぎると接地面が減り、かえって滑りやすくなる場合もあります。そのため、空気圧の調整は「やや高めに保ちつつ、上げすぎない」というバランスが重要です。
さらに注意したいのは、スタッドレスタイヤの種類によって耐荷重性能(ロードインデックス)が異なる点です。軽バンにはバン・小型トラック用(LT規格)のスタッドレスが適合し、乗用車用のものでは空気圧を上げても安全性が確保できないケースがあります。
使用するタイヤの規格を確認したうえで、季節や積載状況に応じた空気圧設定を心がけましょう。必要であれば、整備工場やタイヤ専門店で相談するのも一つの方法です。
インチアップした時の空気圧の考え方

軽バンでタイヤをインチアップする場合、見た目だけでなく空気圧の設定にも十分な配慮が必要です。タイヤサイズを変更すれば、同じ車重でもタイヤの形状や内部構造が変わるため、従来の空気圧が適さないケースがあります。
まず押さえておきたいのは、インチアップ=ホイール径が大きくなるという点です。たとえば純正が12インチだったものを14インチに変えた場合、タイヤの扁平率が下がり、タイヤのたわみが少なくなります。これにより、衝撃吸収性が落ちて乗り心地が硬くなる傾向があります。
このとき、タイヤのロードインデックス(耐荷重性能)も確認する必要があります。純正タイヤよりも低い数値のタイヤを選んでしまうと、空気圧を上げたとしても安全性が確保できないことがあります。
空気圧の設定については、タイヤメーカーの空気圧換算表を参考にする方法があります。これは「同じ荷重を支えるためには、タイヤのサイズと構造に応じて何kPaにする必要があるか」を一覧で示しているものです。たとえば、純正が後輪350kPa設定であった場合、インチアップ後のタイヤがそれに相当する耐荷重を満たすには、320〜360kPa程度に調整が必要になることもあります。
ただし、極端に空気圧を上げるとグリップ性能が低下したり、センター摩耗(タイヤ中央部だけ早く減る)が進む可能性もあるため注意が必要です。
インチアップ後は必ずタイヤの仕様を確認し、適正な空気圧を再設定するようにしましょう。わからない場合は、ショップや整備士に相談するのが安心です。見た目のカスタムだけでなく、実用性と安全性を両立するための調整が欠かせません。
軽バンの主なスペック

空気圧を含めた、主な軽バンのスペックを以下の表にまとめています。
車種 | 駆動方式 | 純正タイヤサイズ | 指定空気圧(前/後) | 空荷時の目安(前/後) | 最大積載量 | 備考 | 定員 | 公式サイト |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エブリイ | FR / 4WD | 145R12 6PR | 280 / 350 kPa | 240〜260 / 260〜280 kPa | 350kg | DA17V型は配送業で人気 | 4名 | SUZUKI公式 |
ハイゼットカーゴ | FR / 4WD | 145R12 6PR | 280 / 350 kPa | 240〜260 / 260〜280 kPa | 350kg | 定積と軽積で空気圧が異なる | 2〜4名 | DAIHATSU公式 |
Nバン | FF / 4WD | 145R12 6PR | 220 / 350 kPa | 200〜220 / 240〜260 kPa | 350kg | 乗用用途と兼用も多い | 4名 | HONDA公式 |
アクティバン | MR / 4WD | 145R12 6PR | 250 / 350 kPa | 220〜230 / 250〜280 kPa | 350kg | エンジンはリア・ミッド配置 | 4名 | HONDA公式 |
バモス | MR / 4WD | 145R12 6PR または 155/70R13 | 220 / 350 kPa | 200〜220 / 240〜260 kPa | 350kg | グレードにより乗用/貨物で異なる | 4名 | HONDA公式 |
軽バンのタイヤの空気圧の調整と実例

- エブリイバンの空気圧は積載量で変える?
- ハイゼットカーゴの空気圧の目安
- Nバンの空気圧どのぐらいが良いか?
- アクティバンの空気圧は用途で調整可能
- バモスの空気圧のおすすめ設定
- 14インチでは空気圧はどう変わる?
- 軽バンのタイヤに空気圧4キロは入れすぎか?
- 145R12 6PRのタイヤの空気圧の目安とは?
エブリイバンの空気圧は積載量で変える?

エブリイの空気圧は、積載する荷物の重さによって調整するのが適切です。これは軽貨物車特有の性質で、空車時と満載時でタイヤにかかる負荷が大きく異なるからです。
例えば、DA17V型のエブリイでは、純正タイヤが145R12 6PR(LT規格)である場合、標準設定として前輪280kPa、後輪350kPaの空気圧が指定されています。これは「最大積載時」の基準であり、荷物を多く積む配送業務などを想定した設定です。
しかし、荷物を積まずに日常的な移動だけに使用する場合は、空気圧を少し下げる方がタイヤの摩耗を抑え、乗り心地も向上します。具体的には、空荷での使用時には前輪240〜260kPa、後輪260〜280kPa程度に調整しているユーザーも多く見られます。
こうした調整が必要な理由は、空気圧が高すぎるとタイヤの中央部ばかりが摩耗しやすくなり、グリップ力も落ちるためです。特に軽バンは後輪に荷重がかかりやすく、何も積んでいない状態では跳ねるような走りになることもあります。
逆に、荷物を多く積む場合やフル積載に近い使用状況では、規定値通りの空気圧を確保することが重要です。タイヤのたわみを抑え、荷重に耐えることで、操縦安定性と安全性を維持できます。
このように、エブリイの空気圧設定は一律ではなく、使用状況に応じた柔軟な対応が必要です。ドア付近の空気圧表示ラベルを確認しつつ、積載状態に応じた調整を心がけましょう。
ハイゼットカーゴの空気圧の目安

ハイゼットカーゴのタイヤ空気圧は、積載量や使用目的によって調整する必要があります。標準的な目安としては、前輪で250〜280kPa、後輪で300〜350kPaがよく用いられる範囲です。これはあくまでバンタイプ(4ナンバー・軽貨物)としての設定であり、乗用タイプの空気圧とは異なります。
この車種は軽貨物車に分類され、最大積載量が350kg前後に設定されています。後輪に大きな荷重がかかる構造のため、リアタイヤには前輪よりも高めの空気圧が推奨されています。荷物を積んで長距離を走るような業務用の使用では、指定値通りに設定することでタイヤのたわみを防ぎ、走行安定性が保たれます。
一方で、日常的な買い物や近距離の移動に使う程度であれば、すべてのタイヤに一律で260〜280kPa程度に設定しても問題はありません。この場合、乗り心地が改善される一方で、燃費性能や操縦安定性にわずかな差が出る可能性はあります。
また、タイヤサイズが145R12 6PRといったLT(ライトトラック)仕様であれば、空気圧はある程度高めが前提です。ただし、タイヤの種類やメーカーによっても最適圧は微妙に異なりますので、タイヤ側面の表記や車体のドア付近にあるラベルを参考にすることが重要です。
定期的に空気圧をチェックし、過不足のない状態を保つことで、安全性と快適性の両方を確保できます。状況に応じた調整を心がけましょう。
Nバンの空気圧どのぐらいが良いか?

ホンダのNバンのタイヤ空気圧は、基本的には車両に貼られているラベルに従うのが正解です。多くのモデルでは、純正装着タイヤが145/80R12 80/78N(LTタイヤ)である場合、前輪220kPa、後輪350kPaという空気圧が指定されています。これは、最大積載状態での使用を前提とした設定です。
一方、実際には「荷物をあまり積まない」「主に1〜2名乗車」といったケースが多く見られます。そのような軽積載条件であれば、前後ともに少し空気圧を下げることで、乗り心地の向上やタイヤ摩耗の抑制が期待できます。たとえば、前輪200〜220kPa、後輪240〜260kPaあたりを目安にすると良いでしょう。
ただし、Nバンは商用利用を意識した設計になっており、リアタイヤには高めの圧が必要です。リアに荷重が集中しやすいため、後輪の空気圧を過剰に下げると、タイヤがたわみやすくなり、横滑りやふらつきの原因になります。特に雨天時やカーブの多い道では注意が必要です。
また、タイヤの空気圧は季節によっても変化します。冬場は気温が低いため空気圧が自然に下がりやすく、逆に夏場は高くなりがちです。Nバンに限らず、どの車種でも月1回は空気圧チェックを行うのが望ましい習慣です。
適正空気圧は「走行安定性」「タイヤ寿命」「燃費性能」を左右する大切な要素です。Nバンを快適かつ安全に使うためにも、自分の使い方に合った空気圧を見つけて調整しましょう。
アクティバンの空気圧は用途で調整可能

アクティバンのタイヤ空気圧は、使用目的や積載量に応じて調整することが可能です。車両に標準装着されている145R12 6PR LTタイヤの場合、ドアに貼付された空気圧表示には「前:250kPa/後:350kPa」といった数値が記載されているケースが一般的です。これはフル積載を想定した値です。
一方、実際には「荷物を積まない」「一人で近距離を移動する」といった軽用途での使用が多く見られます。そのような場合、この指定空気圧のままでは乗り心地が硬くなりやすく、路面の凹凸をダイレクトに感じる原因になります。また、タイヤの中央だけが過剰に摩耗するセンター摩耗も発生しやすくなります。
このような使用状況では、前輪を220kPa程度、後輪を250〜280kPa程度まで下げることで、乗り心地が改善されるほか、タイヤの摩耗も均一になりやすくなります。ただし、過度に下げすぎるとタイヤのたわみが大きくなり、操縦安定性の低下や燃費悪化につながるため、注意が必要です。
また、スタッドレスタイヤや乗用タイヤへ履き替えている場合は、もとのLTタイヤの指定空気圧をそのまま適用するのは危険です。特にロードインデックスが異なるタイヤを装着している場合は、負荷能力に見合った空気圧を別途調整する必要があります。
アクティバンは軽貨物車でありながら、プライベートな移動手段としても使われることが多いため、空気圧を「積載メイン」か「軽装備・乗用メイン」かで適切に見直すことが、安全性や快適性の向上につながります。まずは運転席の空気圧ラベルを確認し、自分の用途に合った調整を行うことが基本です。
バモスの空気圧のおすすめ設定

ホンダ・バモスのタイヤ空気圧は、装着タイヤの種類や使用状況によって最適な数値が異なります。基本的にバモスには2種類のタイヤパターンが存在し、商用仕様では145R12 6PRのLT(ライトトラック)タイヤ、乗用仕様では155/70R13などの乗用タイヤが使われます。
まず、LTタイヤを装着している場合は、車両の空気圧表示ラベルに記載されている前輪220kPa、後輪350kPaという設定が標準です。この設定は最大積載時やフル乗車を想定したものです。そのため、普段は1~2名乗車で荷物もほとんど積まないのであれば、後輪を300kPa前後まで下げても問題ありません。乗り心地も柔らかくなり、タイヤの偏摩耗を抑えやすくなります。
一方で、13インチや14インチの乗用タイヤに交換しているバモスでは、タイヤのロードインデックスに合わせて空気圧を設定する必要があります。一般的に乗用タイヤは高い空気圧に対応していないため、後輪に350kPaを入れると過剰になり、跳ねやすさや乗り心地の悪化、タイヤの中央摩耗が起きることがあります。
この場合、前輪220〜230kPa、後輪240〜260kPaあたりを目安に設定するのが現実的です。特に13インチのエコタイヤなどは柔らかめの構造が多く、若干高めに設定しても問題はありません。ただし、空気圧の上げすぎは雨天時のグリップ低下につながるため、バランスを見ながら調整が必要です。
また、インチアップや異サイズタイヤを装着した場合は、タイヤ販売店やメーカーサイトでそのタイヤの適正空気圧を確認しておくと安心です。空気圧は走行安全性・燃費・タイヤ寿命に直結するため、月に1回は点検するよう心がけましょう。
14インチでは空気圧はどう変わる?

14インチのタイヤに変更した場合、空気圧の設定は純正サイズとは異なる対応が必要になります。なぜなら、タイヤサイズが変わると、内部の空気容量や接地面積、そして耐荷重性能も変化するからです。
多くの軽バンは12インチまたは13インチのバン・小型トラック用タイヤ(LT規格)を標準装着しています。これに対して14インチタイヤを装着する場合、乗用車用タイヤ(通常規格)を使うケースも多くなり、空気圧の設定を誤ると偏摩耗や安全性の低下につながる恐れがあります。
一般的に、純正が145R12 6PR(最大450kg耐荷重・350kPa対応)のようなLT規格タイヤだった場合、インチアップによって乗用車用タイヤに変わると、同じ空気圧を入れても同等の耐荷重が得られない可能性があります。そのため、まずは装着したタイヤの「ロードインデックス(LI)」を確認し、その数値に応じた空気圧を設定する必要があります。
例えば、165/55R14のようなサイズであれば、通常の使用では前輪250〜270kPa、後輪270〜300kPa前後に調整するケースが多いです。ただし、これはあくまで目安であり、タイヤメーカーの推奨空気圧や車両の積載状態に応じた調整が必要です。
また、14インチ化に伴い空気容量が減る場合、少し高めの空気圧が必要になることもあります。一方で、高すぎる空気圧は乗り心地の悪化やタイヤの中央部だけが摩耗する原因になるため、過剰な充填は避けましょう。
このように、14インチに変更した場合は、空気圧も一律ではありません。タイヤの構造や車両の特性に合わせた設定を行うことが、安全かつ快適な運転につながります。装着タイヤの仕様と車両用途を十分に確認したうえで、適正な空気圧を見極めてください。
軽バンのタイヤに空気圧4キロは入れすぎか?

軽バンのタイヤに空気圧4キロ(400kPa)を入れるのは、多くのケースで「入れすぎ」と考えられます。通常、軽バンの指定空気圧は前輪で250~280kPa、後輪で300~350kPaが一般的です。4キロという数値は、その上限を超えており、注意が必要です。
このような高圧設定は、特別な積載状態や業務用途で使用されている車両であれば一部妥当とされることがあります。例えば、荷物を常に満載にして長距離配送を行う軽貨物車両では、前輪300kPa、後輪400kPaという設定が推奨される場合もあります。しかし、これはあくまでも一部の業務用途に限られた話です。
一方、個人使用や軽い荷物しか積まない運転環境で4キロまで空気を入れると、デメリットのほうが大きくなります。タイヤの接地面が減ることでグリップ力が低下し、特に雨天時やカーブでスリップしやすくなる可能性があります。また、乗り心地が非常に硬くなり、タイヤのセンター部分が偏摩耗しやすくなります。
実際のところ、3.5キロ以上の空気圧が必要かどうかは、積載量・タイヤの種類(LTタイヤなど)・走行環境によって変わります。純正タイヤの負荷能力を超えて空気を入れても、必ずしも安全性が向上するわけではありません。むしろ、サスペンションへの負担が増え、タイヤの寿命を縮めるリスクもあります。
したがって、特別な事情がない限り、軽バンのタイヤに4キロの空気圧を入れるのは避けるべきです。運転席ドア付近の空気圧ラベルや取扱説明書を確認し、車両に合った空気圧を守ることが最も安全で確実な方法です。
145R12 6PRのタイヤの空気圧の目安とは?

145R12 6PRという表記のタイヤは、「小型トラック・軽貨物車用の高強度タイヤ」で、6PRは「6プライレーティング」と呼ばれる耐荷重性能を示します。この種類のタイヤに適した空気圧の目安は、用途や積載状態によって変わりますが、一般的には前輪で220~250kPa、後輪で260~350kPaがよく使われる範囲です。
このサイズのタイヤは、耐荷重性が高いため、適正な空気圧を維持することでタイヤ本来の性能を発揮できます。特に軽トラックや軽バンのように、後輪に荷重がかかりやすい車両では、後輪の空気圧が高めに設定されるのが通常です。例えば、満載時の後輪には300~350kPa程度を入れることが推奨されることもあります。
一方で、荷物を積まない空荷状態でこの空気圧を維持すると、乗り心地が固くなったり、タイヤの中央部だけが早く摩耗する「センター摩耗」の原因にもなりかねません。そのため、空荷時には前輪220kPa、後輪260kPa程度まで下げることで、タイヤの寿命と走行安定性を両立しやすくなります。
このような調整は、車両に貼られている空気圧ラベルや車検証の備考欄を参考にすることが基本です。また、145R12 6PRタイヤは最大450kg/1輪の耐荷重性能を持っていますが、空気圧が不足していると性能を十分に発揮できません。
状況に応じて空気圧を調整し、少なくとも月に1回は確認するようにしましょう。適正な空気圧の維持は、安全運転だけでなく燃費やタイヤ寿命にも大きく関わってきます。
軽バンのタイヤの空気圧についてを総括
記事のポイントをまとめます。
- タイヤの空気圧は車両ごとに指定されており共通ではない
- 軽バンの適正空気圧は積載を前提に高めに設定されている
- 荷物がない空荷時は空気圧を少し下げることで乗り心地が改善
- 空気圧が高すぎるとグリップ力が低下し跳ねやすくなる
- 空気圧が低すぎると燃費悪化やタイヤの偏摩耗を招く
- スタッドレスタイヤは通常より少し高めに空気を入れるのが一般的
- インチアップ時はタイヤサイズに応じた空気圧への再設定が必要
- 空気圧はドアや給油口付近のラベルを確認するのが基本
- 145R12 6PRなどLTタイヤは高耐荷重のため空気圧も高めが標準
- 軽貨物車は後輪に大きな負荷がかかるためリアの空気圧が高い
- 月1回程度の空気圧点検で走行安定性と安全性が維持できる
- 軽バンでの空気圧4キロは業務用など特例を除き過剰
- タイヤの空気圧は気温によっても自然に変化する
- 適正空気圧の調整によりタイヤ寿命や燃費にも良い影響がある
- 不安がある場合は専門店で空気圧を相談・調整するのが安全