こんにちは。軽自動車ナビ、運営者の「S」です。
出かけようとした矢先に愛車のN-WGNのエンジンがかからないというトラブルに見舞われると、本当に焦ってしまいますよね。特にカチカチという音が鳴るだけで反応がなかったり、ブレーキが硬いと感じたり、あるいはスマートキーの電池切れを疑うような状況だと、余計に不安になるものです。実はN-WGN特有の原因や警告灯の意味を知っていれば、その場で解決できるケースも少なくありません。
この記事では私自身の経験や知識をもとに、突然のトラブルでも落ち着いて対処できるよう、具体的な手順や確認すべきポイントをわかりやすく解説していきます。

記事のポイント
- 現象別の原因切り分けですぐに試せる応急処置
- スマートキーの電池が切れた時の緊急始動テクニック
- 専用バッテリーM42Rの特徴と寿命を延ばすコツ
- 見逃してはいけないリコール情報と安く修理する方法
エヌワゴンのエンジンがかからない主な原因と対処法

「あれ?かからない...」と思った時、まずは深呼吸をして、車の反応を観察してみてください。N-WGNをはじめとする最近の車は、不具合の原因を「音」や「光(警告灯)」でドライバーに伝えようとしています。ここでは、よくある症状別に、その場で試せる対処法を詳しく解説していきます。
- カチカチ音がしてエンジンがかからない時は
- ブレーキが硬くてプッシュスタートできない場合
- スマートキーの電池切れでかからない時の始動法
- 警告灯が点灯してエンジンがかからない原因
- ハンドルロックがかかって始動できない時の対処
カチカチ音がしてエンジンがかからない時は
スタートボタンを押したときに、エンジンルームから「カチカチカチ...」や「ジジジジ...」という連続した音が聞こえて、エンジンが回らない。この症状が出た場合、その原因の9割以上はバッテリーの電圧不足(バッテリー上がり)です。
音の正体とメカニズム
この特徴的な「カチカチ音」の正体は、セルモーター(エンジンを回すモーター)に電気を送るためのスイッチである「マグネットスイッチ」が、電圧不足でONとOFFを高速で繰り返している音です。
エンジンを始動させるには大きな電力が必要ですが、バッテリーが弱っていると「スイッチを入れる力」はあっても、「モーターを回す力」までは残っていない状態です。つまり、完全に空っぽではなく、「瀕死の状態」と言えます。

バッテリー上がりを疑うチェックポイント
- ルームランプやメーターの照明が、いつもより暗い、または点滅する。
- パワーウィンドウの動きが遅い。
- 最近、信号待ちなどでアイドリングストップをしなくなっていた(予兆)。
- クラクションの音が弱々しい。
この場合の対処法
残念ながら、この状態になると時間を置いても自然回復することはありません。以下のいずれかの方法で外部から電気を供給する必要があります。

- ジャンプスタート: 他の救援車とブースターケーブルで繋いで電気を分けてもらう。
- ロードサービス: JAFや自動車保険付帯のロードサービスを呼ぶ(会員なら無料の場合が多いです)。
- ジャンプスターターの使用: 市販の携帯型ジャンプスターターを持っている場合は接続して始動する。
もし、「カチッ」と一度だけ音がして、その後シーンとしてしまう場合は、バッテリーではなくセルモーター本体の故障(寿命)の可能性が高くなります。この場合はいくら充電してもエンジンはかからないため、レッカー移動での修理工場入りが必要になります。
ブレーキが硬くてプッシュスタートできない場合
「ブレーキペダルが石のように硬くて、奥まで踏み込めない!」
プッシュスタート式のN-WGNに乗っていると、この現象に驚く方が非常に多いです。でも安心してください。これは車の故障ではありません。

なぜブレーキが硬くなるのか?
車には、軽い力でブレーキを効かせるために「マスターバック(倍力装置)」という部品が付いています。この装置はエンジンの回転を利用して真空状態(負圧)を作り出し、ペダルを踏む力をアシストしています。
しかし、エンジンが止まっている状態で何度もブレーキペダルを踏むと、タンク内に溜まっていた負圧を使い果たしてしまいます。その結果、アシスト機能が効かなくなり、ペダルが本来の重さ(カチカチの状態)になってしまうのです。
始動の仕組みとの関係
プッシュスタート車は安全のため、「ブレーキペダルが一定の深さまで踏み込まれていること」をスイッチで検知して初めてエンジン始動を許可します。ペダルが硬いと、いつもの力ではそのスイッチが反応する深さまで踏み込めないため、スタートボタンを押しても電源が入るだけでエンジンがかからないのです。
正しい始動手順
対処法はシンプルですが、コツがいります。
- 焦らずにシートに深く座り直します。
- 「板を踏み抜く」くらいの気持ちで、普段の3倍くらいの力でブレーキペダルを強く踏み込みます。
- 強く踏んだまま、スタートボタンを押してください。

これで無事にエンジンがかかれば、エンジンの力で負圧が発生し、ブレーキペダルの踏み心地も「スゥーッ」といつもの柔らかさに戻ります。
スマートキーの電池切れでかからない時の始動法
メーター内のディスプレイに「KEY」という文字や「鍵のマーク」が点滅していたり、「キーが見つかりません」といったメッセージが出ている場合、スマートキーの電池(ボタン電池)が切れている可能性が高いです。
「電池交換するまで車に乗れないの?」と思うかもしれませんが、ホンダ車には緊急時のためのバックアップ機能が必ず備わっています。これを「タッチ始動」と呼びます。
N-WGNの緊急タッチ始動手順(完全版)
この手順はJH1/JH2(初代)もJH3/JH4(現行)も基本的に共通です。
- シフトレバーが「P」に入っていることを確認します。
- ブレーキペダルを踏まずに、エンジンスイッチ(スタートボタン)を1回押します。
- メーター内でキー警告灯が点灯し、ボタンのLEDやブザーが反応します(約30秒間待機状態になります)。
- この間に、スマートキーのホンダエンブレムがある面(裏面)を、スタートボタンに直接ピタッと接触させます。
- 車がキーのIDを読み取ると「ピッ」という電子音が鳴り、スタートボタンのランプが点灯します。
- その状態で10秒以内に、ブレーキペダルをしっかり踏みながら、もう一度スタートボタンを押してください。

この方法でエンジンがかかった場合は、速やかに電池を交換しましょう。N-WGNのスマートキーで使用されている電池は、一般的に「CR1632」という規格です。100円ショップやコンビニ、ドラッグストアでも入手可能です。

警告灯が点灯してエンジンがかからない原因
メーターパネルは車の健康状態を示すモニターです。いつもと違うランプが点灯している場合、システムが始動をロックしている可能性があります。
緑色の鍵マーク(イモビライザー警告灯)
緑色の鍵マークが点滅している場合、これはイモビライザー(盗難防止装置)がキーを認識していないことを示しています。
- 原因: 電池切れ、キーのデータ破損、類似した電波を発する機器(スマホや他の車のキー)との干渉、キー内部のチップ破損など。
- 対処: スマホとキーを離してみる、予備のキー(スペアキー)を使ってみる。それでもダメな場合は、ディーラーでの再登録や修理が必要です。
オレンジ色のエンジン警告灯・PGM-FI警告灯
エンジンの形をしたオレンジ色のランプや、「PGM-FI」という文字が点灯したまま消えない場合、エンジンや電子制御システムに重大なトラブルが発生しています。これはユーザー側での対処が不可能な領域ですので、無理に始動を繰り返さず、すぐに整備工場へ連絡してください。

ハンドルロックがかかって始動できない時の対処
意外と盲点なのが「ステアリングロック(ハンドルロック)」です。これは盗難防止のために、キーが無い状態でハンドルを回すと機械的にロックがかかる機能ですが、これが作動しているとイグニッションが回らなかったり、プッシュスタートが反応しなくなったりします。

「あれ?ハンドルがガチガチで動かないし、エンジンもかからない」という状況になります。
ハンドルロック解除のコツ
力任せに回そうとしても解除できません。以下の手順で優しく解除しましょう。
- ハンドルを左右に動かそうとすると、ガチッと止まる範囲の中に、わずかに動く「遊び」の部分があります。
- その遊びの範囲で、ハンドルを左右に細かく揺すりながら(ロックピンへの負荷を逃がしながら)、同時にスタートボタンを押す(またはキーを回す)操作を行ってください。
- 「カシャッ」と音がしてロックが外れ、エンジンがかかります。

エヌワゴンのエンジンがかからない時の修理とリコール
ここまでは「操作」や「一時的な対処」で解決できるケースを紹介しましたが、ここからは部品の劣化や故障、そしてホンダNシリーズ特有の注意すべきリコール情報について解説します。
- 専用バッテリーM42Rの寿命と交換時期の目安
- セルモーター故障や燃料ポンプのリコール情報
- 修理費用を安く抑えるリビルト品の活用方法
- ディーラーでリコール対象か検索する重要性
- エヌワゴンのエンジンがかからないトラブルの総括
専用バッテリーM42Rの寿命と交換時期の目安
N-WGN(特にアイドリングストップ搭載車)のバッテリー交換において、最も重要なのが「規格選び」です。N-WGNには「M-42R」というアイドリングストップ車専用のバッテリーが搭載されています。
この「M-42R」は、頻繁なエンジンの停止・再始動による大電流の放電と、走行中の短時間での急速充電に対応するため、内部極板が強化された高性能バッテリーです。
普通の安いバッテリーを使うとどうなる?
カー用品店などで「サイズが同じだから安い方でいいや」と、標準車用のバッテリー(40B19Rなど)を取り付けてしまうケースがありますが、これは絶対にNGです。
アイドリングストップシステムの過酷な負荷に耐えられず、数ヶ月でバッテリー上がりを起こしたり、アイドリングストップ機能が永久に停止したりするトラブルの原因になります。

寿命の目安は、使用環境にもよりますが約2年〜3年です。アイドリングストップをしなくなるのが初期の劣化サインですので、その兆候が見えたら早めの交換を検討しましょう。ネット通販などで購入して持ち込み交換すれば、費用を大幅に抑えることも可能です。
セルモーター故障や燃料ポンプのリコール情報
バッテリーは元気でセルモーターも回る(キュルキュル音がする)のに、エンジンがかからない。このようなケースでは、燃料系や点火系のトラブル、あるいはメーカーのリコール対象となっている不具合が疑われます。
低圧燃料ポンプのインペラ不具合(リコール)
近年、N-WGNを含む多くのホンダ車で、燃料ポンプ(ガソリンをエンジンに送るポンプ)の不具合によるリコールが実施されています。ポンプ内部の樹脂製部品(インペラ)が燃料を吸って膨張・変形し、回転しなくなることでエンジンがかからなくなるというものです。
セルモーターの寿命
走行距離が10万キロ前後に達している場合、セルモーター自体の寿命(内部ブラシの摩耗)も考えられます。「叩くと直る」という昭和の裏技がありますが、これはあくまでブラシの接触を一時的に復活させるだけの一発勝負です。もし叩いてかかったとしても、次は絶対にかかりませんので、エンジンを切らずにそのまま整備工場へ直行してください。

修理費用を安く抑えるリビルト品の活用方法
もしセルモーターやオルタネーター(発電機)の故障と診断された場合、ディーラーで新品交換の見積もりを取ると、部品代だけで4〜6万円、工賃を含めると高額な出費になります。
そんな時、私は修理工場に「リビルト品は使えますか?」と相談することを強くおすすめします。
リビルト品とは?
廃車などから回収した部品を分解・洗浄し、消耗品(ブラシやベアリングなど)を新品に交換して組み直した「再生部品」のことです。
性能は新品とほぼ同等でありながら、価格は新品の半額〜7割程度で流通しています。環境にもお財布にも優しい選択肢です。
多くの民間整備工場ではリビルト品の取り扱いが一般的ですが、ディーラーでは純正新品を基本とする場合が多いです。「少しでも安く直したい」という意思をしっかり伝えることが大切です。
ディーラーでリコール対象か検索する重要性
N-WGNでは、燃料ポンプ以外にも「EGRバルブ」などの排ガス制御装置に関する不具合やサービスキャンペーンが報告されています。これらが原因でエンジン始動不良やエンストが起きている場合、修理費用はメーカー負担(無償)となります。
知らずに一般の工場で有償修理してしまうのは非常にもったいないことです。不調を感じたら、まずは自分の車がリコール対象になっていないかを確認しましょう。
確認方法は簡単です。車検証に記載されている「車台番号」を、ホンダ公式サイトの検索ページに入力するだけです。

(出典:本田技研工業株式会社『リコール・改善対策・サービスキャンペーン検索』)
エヌワゴンのエンジンがかからないトラブルの総括
N-WGNのエンジンがかからない原因は、単純な操作ミスから、バッテリーの寿命、そしてリコール案件まで多岐にわたります。最後に、症状から原因を特定するための簡易フローをまとめておきます。
| 症状(音や光) | まず疑うべき原因 | 緊急時の対応 |
|---|---|---|
| カチカチ音がして回らない | バッテリー上がり | ジャンプスタート |
| ブレーキが硬くて回らない | 負圧不足(正常な仕様) | ペダルを強く踏んで始動 |
| キー警告灯が点滅する | スマートキー電池切れ | タッチ始動(エンブレムを当てる) |
| キュルキュル回るがかからない | 燃料ポンプ/点火系/リコール | ロードサービスを手配 |
| ハンドルが動かず回らない | ハンドルロック作動 | ハンドルを揺すりながら始動 |

突然のトラブルは誰でも焦るものですが、正しい知識があれば「まずはこれを試そう」と冷静に対処できます。もし自分での解決が難しいと感じたら、無理をせずJAFや加入している自動車保険のロードサービスを頼りましょう。安全第一で、快適なカーライフを取り戻してくださいね。
※本記事の内容は一般的な情報に基づいています。車両の状態や年式によって異なる場合があるため、正確な診断は必ず専門の整備工場やディーラーにご相談ください。