
スズキのハスラーを自分好みにカスタムしたいけれど、車高短(シャコタン)はダサいと思われないか、費用はどれくらいかかるのか、といった不安や疑問をお持ちではないでしょうか。
ハスラーの車高を何cmか下げることで、見た目は大きく変わります。しかし、安易なカスタムは失敗や後悔につながりかねません。
例えば、車高調やローダウンキットの選択を間違えると、乗り心地が極端に悪化することがあります。また、SUVとしての魅力である最低地上高を犠牲にすることにもなりますし、ライバル車としてよく比較されるジムニーとの違いも気になるところです。
この記事では、ハスラーの車高短カスタムに関するあらゆる情報を網羅的に解説します。評判や費用、乗り心地の変化から、車高アップとの比較、具体的な方法まで、この記事を読めば、あなたのハスラーカスタムに関する疑問や不安が解消され、自信を持って次の一歩を踏み出せるはずです。
ハスラーの車高短カスタム!知っておくべきこと

- ハスラーのローダウンはダサい?評判を解説
- 画像で見るカスタム例
- 車高を下げる主な方法
- シャコタンカスタム事例
- 車高アップも人気!リフトアップとは
- ローダウンは乗り心地が悪い?
- ローダウン費用の内訳と相場
ハスラーのローダウンはダサい?評判を解説

「ハスラーのローダウンはダサい」という意見は、インターネット上で時折見かけることがありますが、これは一部の主観的な見方と捉えてよいでしょう。ハスラーが持つポップで可愛らしいデザインから、一部で「若い女性向けの車」というイメージが先行し、車高を下げるスタイルに違和感を覚える人がいると考えられます。
しかし、実際のオーナー層は非常に幅広く、特定の年齢層に偏っているわけではありません。丸目のヘッドライトなど、どこか懐かしさを感じさせるレトロな雰囲気は、年代を問わず多くの男性ユーザーからも支持されています。データベースの情報によれば、40代や50代の男性が「デザインが気に入って購入を検討している」という相談を投稿し、多くの肯定的な意見が寄せられていました。
むしろ、ライフスタイルや用途に合わせて合理的に車を選ぶのが現代的な価値観であり、自分の好きなデザインや機能性でカスタムを楽しむ方が、満足度は高くなる傾向にあります。リフトアップが主流に見えるハスラーのカスタムにおいて、あえてローダウンを選ぶことは、独自のスタイルを確立する一つの方法と言えます。
画像で見るカスタム例

ハスラーをローダウンすると、ノーマル状態とは全く異なる、どっしりとして精悍な印象に変わります。言葉で説明するよりも、実際のカスタム例を見るのが最もイメージしやすいでしょう。
例えば、鮮やかなイエローのボディカラーのハスラーに、足元をブラック系のホイールで引き締めるカスタム例があります。車高が下がることで、もともと備わっている樹脂製のフェンダーがオーバーフェンダーのように見え、迫力が増します。
また、別の事例では、車高調を組んでタイヤとフェンダーの隙間が指2本分程度になるようセッティングされています。このようにミリ単位で高さを調整することで、全体のバランスが取れた一体感のあるスタイルが生まれます。マフラーをセンター出しのものに交換すれば、後ろ姿もよりスポーティーな印象に仕上げることが可能です。
車高を下げる主な方法

ハスラーの車高を下げるための主な方法には、「ダウンサス」への交換と「車高調」の導入という2つの選択肢があります。どちらを選ぶかによって、費用や乗り心地、調整の自由度が大きく異なります。
ダウンサス
純正のスプリング(バネ)を、より短い社外品のスプリングに交換する方法です。最大のメリットは、パーツ代が比較的安価で、手軽にローダウンできる点にあります。
ただし、スプリングだけを交換すると、後述する乗り心地の悪化につながりやすいというデメリットも存在します。
車高調(車高調整式サスペンションキット)
スプリングとショックアブソーバーがセットになったパーツです。ミリ単位で車高を自由に調整できるのが最大の特徴で、製品によっては乗り心地の硬さを調整する「減衰力調整機能」も備わっています。
理想の車高と乗り心地を両立させたい場合に最適ですが、ダウンサスに比べてパーツ代や工賃が高くなる傾向にあります。
シャコタンカスタム事例

シャコタン(車高短)とは、その名の通り車高を低くするカスタムの総称です。ここでは数あるカスタムの中から、特に個性的なスタイルを実現している事例を紹介します。
例えば、単に車高調やダウンサスで車高を下げるだけでなく、さらに低いシルエットや独特の見た目を求めて、タイヤの角度を調整する「キャンバー角」のセッティングを行う手法があります。フロントには「キャンバーボルト」という特殊なボルトを使用し、タイヤの上部を内側に傾けることで、より低い車高でもタイヤがフェンダーに干渉しにくくします。
また、リアに関しては、サスペンションの構造自体を加工した「カスタムアクスル」や、角度を付けるための「キャンバープレート」といったパーツを装着する例も見られます。これらのパーツを組み合わせることで、車高調だけでは難しい大幅なローダウンや、リアが上がり気味に見える「ケツ上がり」の状態を解消し、理想的なシルエットを実現します。
車高アップも人気!リフトアップとは

ハスラーのカスタムは、車高を下げるローダウンだけではありません。むしろ、その逆である「リフトアップ」も非常に人気の高いカスタムスタイルです。
リフトアップとは、専用のスプリングやキットを用いて車高を上げるカスタムのことを指します。ハスラーが持つSUVとしての魅力をさらに引き出し、より力強くワイルドな外観を演出できます。車高が上がることで、ノーマルよりも大きなオフロードタイヤを装着することも可能になり、アウトドアテイストが一気に高まります。
また、見た目の変化だけでなく、実用的なメリットも大きいです。最低地上高がさらに高くなるため、雪道やキャンプ場の未舗装路など、悪路での走破性が向上します。段差などで車体下部を擦るリスクも軽減されるため、アクティブなシーンでハスラーを活用したいユーザーにとっては、非常に魅力的な選択肢と考えられます。
ローダウンは乗り心地が悪い?

ローダウンを検討する上で最も懸念されるのが、乗り心地の悪化です。安易にダウンサスを組んだだけでは、乗り心地が悪くなる可能性が非常に高いと言えます。
その主な原因は、純正のショックアブソーバーがノーマルの車高に合わせて設計されているためです。スプリングが短くなると、ショックアブソーバーが常に縮んだ状態になり、動ける範囲(ストローク)が極端に狭くなります。
この状態で段差を乗り越えると、ショックアブソーバーが底に当たってしまう「底突き」という現象が頻繁に起こります。底突きが起こると、「ゴツン」という強い衝撃が車内に伝わり、非常に不快な乗り心地になってしまいます。
この問題を解決するには、スプリング交換と同時に、ローダウンに対応した短い「ショートバンプラバー」に交換したり、ショックアブソーバー自体をローダウン用に設計された社外品に交換したりすることが効果的です。最も確実なのは、スプリングとショックアブソーバーが最適化された車高調を導入することでしょう。
ローダウン費用の内訳と相場

ハスラーのローダウンにかかる費用は、選択するパーツと作業を依頼する店舗によって大きく変動します。パーツ代だけでなく、工賃や調整費用も必要になるため、総額で予算を考えることが大切です。
以下に、費用の内訳と大まかな相場をまとめました。
項目 | 費用の目安 | 備考 |
パーツ代 | ||
ダウンサス | 15,000円 ~ 30,000円 | 乗り心地改善のため、バンプラバー(約5,000円~)の追加購入が推奨されます。 |
車高調 | 80,000円 ~ 150,000円 | スプリング、ショックアブソーバー等がセットになっています。 |
調整式ラテラルロッド | 10,000円 ~ 15,000円 | 4WD車でローダウンする際に、リア車軸のズレを補正するために必要となる場合があります。 |
技術料 | ||
交換工賃 | 20,000円 ~ 50,000円 | パーツの種類(ダウンサスか車高調か)や店舗によって変動します。 |
四輪アライメント調整 | 15,000円 ~ 25,000円 | ローダウン後の必須作業です。タイヤの偏摩耗を防ぎ、直進安定性を確保します。 |
これらのことから、比較的安価なダウンサスでローダウンする場合でも、総費用としては最低5万円から8万円程度、性能と乗り心地を両立できる車高調を導入する場合には、12万円から20万円以上が目安になると考えられます。
ハスラーの車高短で失敗しないためのポイント

- おすすめのローダウンキットと車高調
- 車高は何cmまで下げられる?
- 最低地上高とジムニーとの比較
- ハスラーの4WDのローダウン注意点
- ハスラーの主なスペック
- ハスラーの車高短カスタムのポイント総まとめ
おすすめのローダウンキットと車高調

ハスラー用のローダウンパーツは、多くのメーカーから販売されており、それぞれに特徴があります。自分の目的や予算に合った製品を選ぶことが、後悔しないための鍵となります。
手軽さと価格を重視するなら「ダウンサス」
とにかくコストを抑えて手軽にローダウンしたい場合は、ESPELIR(エスペリア)などのダウンサスが選択肢になります。ただし、前述の通り乗り心地が悪化しやすいため、同社から販売されている「スーパーダウンサスラバー」といったショートバンプラバーとの同時交換が強く推奨されます。
乗り心地とスタイルの両立を目指すなら「車高調」
予算に余裕があり、理想のスタイルと快適な乗り心地を両立させたいのであれば、車高調の導入が最もおすすめです。
BLITZ(ブリッツ)の「ZZ-R」は、全長調整式で減衰力調整機能も備えており、幅広いセッティングが可能なため人気があります。また、TANABE(タナベ)の「SUSTEC PRO CR」は、街乗りでのマイルドな乗り心地に定評があり、純正部品を一部流用することで異音の発生を抑える工夫がされています。
純正に近い乗り味を保ちたいなら「純正形状キット」
車高調ほどの調整機能は不要で、純正に近い自然な乗り心地を保ちながら車高を下げたいという方には、KYB(カヤバ)の「Lowfer Sports L-KIT」のような純正形状のローダウンキットが適しています。これは、ローダウン専用に設計されたショックアブソーバーとスプリングがセットになっており、バランスの取れた性能を発揮します。
車高は何cmまで下げられる?

ハスラーの車高をどのくらい下げるかは、見た目の好みだけでなく、実用性や法規制も考慮して慎重に決める必要があります。一般的なダウンサスや車高調では、おおよそ3cmから5cm程度のダウン量が設定されていることが多いです。
ノーマル状態のハスラーの最低地上高は180mmですが、例えば4cmローダウンすると約140mmになります。これでも多くのセダンよりは高いですが、これまで気にしなかったコンビニの駐車場の段差や、立体駐車場のスロープなどで、バンパーや車体下部を擦ってしまうリスクが高まります。
特に、5cmといった大幅なローダウンは、乗り心地の悪化や底突きの危険性が非常に高まるという専門家の指摘もあります。また、道路運送車両法の保安基準では、最低地上高が9cm以上確保されている必要があると定められています。過度なローダウンは車検に通らない可能性があるため、注意が必要です。
最低地上高とジムニーとの比較

ハスラーの購入を検討する際、しばしば比較対象となるのが、同じスズキの軽自動車であるジムニーです。特に、悪路走破性の指標となる最低地上高には違いがあります。
ノーマル状態での最低地上高は、ハスラーが180mmであるのに対し、ジムニーは205mmと、ジムニーの方が2.5cm高くなっています。この数値だけを見ると、走破性に大きな差はないように感じるかもしれません。
しかし、この2台の走破性は、構造的な違いから全く異なります。ハスラーが一般的な乗用車と同じ「モノコックボディ」と「独立懸架式サスペンション(フロント)」を採用しているのに対し、ジムニーはトラックなどにも使われる頑丈な「ラダーフレーム構造」と、悪路に強い「リジッドアクスル式サスペンション」を採用しています。
これにより、凹凸の激しいオフロードで片方のタイヤが乗り上げた際に、ハスラーは車体中央が下がりやすいのに対し、ジムニーは車体の高さを保ちやすく、もう片方のタイヤを地面に押し付ける力が働きます。したがって、単純な最低地上高の数値以上に、ジムニーは本格的な悪路走行に適した構造を持っていると言えます。
ハスラーの4WDのローダウン注意点

ハスラーの4WDモデルをローダウンする際には、2WD車にはない特有の注意点があります。それは、車高を下げた際に生じるリアアクスル(後輪の車軸)の横ズレです。
ハスラーのリアサスペンションは、左右の車輪が一本の車軸で繋がれた構造(トーションビーム式やI.T.L.式)をしています。このタイプのサスペンションは、車高を下げると構造上、車軸全体が左右どちらか一方にズレてしまいます。
この横ズレを放置すると、左右のタイヤのフェンダーからの出幅(ツライチ)が異なってしまい、見た目のバランスが悪くなるだけでなく、走行安定性にも影響を与える可能性があります。
この問題を補正するために、「調整式ラテラルロッド」というパーツへの交換が推奨されます。これは、長さを調整することでズレてしまったアクスルを正しい中心位置に戻すためのパーツで、多くのサスペンションメーカーからハスラー専用品が販売されています。特に初代ハスラー(MR31S/MR41S型)をローダウンする際には、必須のパーツと考えるのが良いでしょう。
ハスラーの主なスペック

ハスラーの主なスペックを以下の表にまとめています。
グレード | 型式 | 新車価格(税込) | 駆動方式 | トランスミッション | 全長×全幅×全高(mm) | 室内寸法(mm) | 車両重量(kg) | 排気量(cc) | 最高出力(PS) | 最大トルク(kg・m) | 燃費(WLTCモード) | 最小回転半径 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HYBRID Xターボ | 5AA-MR92S | 1,750,100円 | 2WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 850 | 658 | 64 | 10.0 | 22.6km/L | 4.6m |
HYBRID Xターボ (2トーン) | 5AA-MR92S | 1,933,800円 | 4WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 890 | 658 | 64 | 10.0 | 20.8km/L | 4.6m |
HYBRID X | 5AA-MR92S | 1,672,000円 | 2WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 830 | 657 | 49 | 5.9 | 25.0km/L | 4.6m |
HYBRID X (2トーン) | 5AA-MR92S | 1,855,700円 | 4WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 870 | 657 | 49 | 5.9 | 23.4km/L | 4.6m |
HYBRID Gターボ (2トーン) | 5AA-MR92S | 1,645,600円 | 2WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 840 | 658 | 64 | 10.0 | 22.6km/L | 4.6m |
HYBRID Gターボ | 5AA-MR92S | 1,730,300円 | 4WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 880 | 658 | 64 | 10.0 | 20.8km/L | 4.6m |
HYBRID G | 5AA-MR92S | 1,518,000円 | 2WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 820 | 657 | 49 | 5.9 | 25.0km/L | 4.6m |
HYBRID G (2トーン) | 5AA-MR92S | 1,701,700円 | 4WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 860 | 657 | 49 | 5.9 | 23.4km/L | 4.6m |
タフワイルド (2トーン) | 5AA-MR92S | 1,809,500円 | 2WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 840 | 657 | 49 | 5.9 | 25.0km/L | 4.6m |
タフワイルド | 5AA-MR92S | 1,894,200円 | 4WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 880 | 657 | 49 | 5.9 | 23.4km/L | 4.6m |
タフワイルドターボ | 5AA-MR92S | 1,838,100円 | 2WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 860 | 658 | 64 | 10.0 | 22.6km/L | 4.6m |
タフワイルドターボ (2トーン) | 5AA-MR92S | 2,021,800円 | 4WD | CVT | 3,395×1,475×1,680 | 2,215×1,330×1,270 | 900 | 658 | 64 | 10.0 | 20.8km/L | 4.6m |
※ SUZUKI公式サイトより引用
ハスラーの車高短カスタムのポイント総まとめ
記事のポイントをまとめます。
- ハスラーのローダウンは一部の意見で「ダサい」と言われることもあるが、実際は幅広い層に支持される個性的なカスタムである
- 車高を下げる主な方法は「ダウンサス」と「車高調」の2種類で、それぞれにメリット・デメリットがある
- ダウンサスのみの交換は乗り心地が悪化しやすいため、ショートバンプラバーや専用ショックの併用が推奨される
- 車高調は高価だが、ミリ単位の車高調整や減衰力調整が可能で、理想のスタイルと乗り心地を両立させやすい
- ローダウンの費用はパーツ代の他に工賃やアライメント調整費が必要で、総額は数万円から20万円以上が目安となる
- より個性的な「シャコタン」を目指すなら、キャンバー角の調整など専門的な知識とパーツが必要になる
- カスタムの方向性としては、SUVらしさを強調する「リフトアップ」も人気であり、ローダウンとは逆の魅力がある
- ハスラーのノーマル最低地上高は180mmで、ローダウンにより段差などで車体を擦るリスクが高まる
- 保安基準では最低地上高9cm以上が定められており、過度なローダウンは車検に通らない可能性がある
- ライバルのジムニーは最低地上高205mmで、フレームやサスペンション構造の違いから、ハスラーより本格的な悪路走破性を持つ
- 4WDモデルをローダウンする際は、リア車軸の横ズレを補正する「調整式ラテラルロッド」の装着が推奨される
- 見た目の変化だけでなく、乗り心地、費用、実用性の低下といったデメリットも理解することが大切
- 自分のライフスタイルや予算、どのようなスタイルを目指したいかを明確にすることがカスタム成功の鍵となる
- 安易なDIYは危険を伴うため、信頼できるプロショップに相談し、適切なパーツ選びと取り付けを依頼することが推奨される
- ハスラーの車高短は、正しい知識と方法で行うことで、所有する喜びをさらに高める魅力的なカスタムと言える