
ダイハツ・タフトの魅力の一つでもある、ワイルドな印象を与える豊富な樹脂パーツ。しかし、日常の運転でうっかり擦ってしまい、傷がついてしまうことも少なくありません。このとき、傷消しや塗装で対応できるのか、それともパーツ交換が必要になるのか、悩む方は多いのではないでしょうか。
特に、フロントバンパーやリアバンパー、サイドバンパー、そして特徴的なフェンダーなど、修理や取り外しにかかるタフトの樹脂パーツ交換費用は、事前に把握しておきたいところです。リアのバックドアも樹脂製であることは、あまり知られていないかもしれません。それぞれのバンパーの損傷具合によって費用は大きく変わるため、適切な対処法を知らないままだと、思わぬ出費につながる可能性もあります。
この記事では、タフトの樹脂パーツに関するあらゆる費用や修理方法について、網羅的に解説します。
知っておきたいタフトの樹脂パーツ交換費用

- タフトの樹脂パーツとは?その特徴を解説
- 樹脂バンパーは傷つきやすい?
- DIYで試せるタフトの樹脂パーツ傷消し
- 自分で塗装は可能か
- 見落としがちなバックドアも樹脂製
- サイドバンパー交換について
タフトの樹脂パーツとは?その特徴を解説

ダイハツ・タフトには、他の軽自動車と比較して多くの樹脂パーツが採用されています。これは、タフトが持つクロスオーバーSUVとしてのコンセプトを強調するためのデザイン上の特徴です。具体的には、フロントバンパー、リアバンパー、フェンダーアーチ、サイドドア下部のモール(サイドステップ)などが未塗装の樹脂で作られています。
このような樹脂パーツを多用する理由は、大きく分けて3つ考えられます。
一つ目は、デザイン性です。未塗装の黒い樹脂パーツは、ボディカラーとのコントラストを生み出し、力強くアクティブな印象を与えます。これにより、タフトのアウトドア志向でタフなイメージが際立ちます。
二つ目は、機能性です。樹脂パーツは、飛び石や軽い接触による傷が目立ちにくいという利点があります。塗装された金属製のボディであれば小さな傷でも目立ってしまいますが、樹脂パーツは素材自体が黒いため、同程度の傷であれば比較的目立ちにくい傾向にあります。
三つ目の理由は、修理・交換のしやすさです。特に傷がつきやすいバンパーやフェンダー部分を独立した樹脂パーツにすることで、万が一損傷した場合でも、その部分だけを交換することが可能になります。これにより、ボディ全体を板金塗装するよりも修理費用を抑えられるケースが多くなります。
樹脂バンパーは傷つきやすい?

タフトのバンパーは、車の前後、そして側面下部に配置されており、構造上、壁や縁石などに最も接触しやすい部分です。そのため、「傷つきやすい」と感じるユーザーは少なくありません。特に未塗装の樹脂バンパーは、表面に微細な凹凸があるため、一度深い傷がつくと白く目立ってしまいます。
ただ、前述の通り、これは交換を前提とした設計思想でもあります。塗装されたバンパーであれば、傷の修理にはパテ埋め、研磨、塗装といった複雑な工程が必要になり、工賃も高額になりがちです。一方で、タフトの樹脂バンパーは、部品として比較的安価に設定されており、交換作業も容易な構造になっています。
つまり、タフトの樹脂バンパーは傷つきやすいというデメリットがある一方で、傷ついた際の修理費用を抑えやすいというメリットを併せ持っていると言えます。傷を恐れて運転するよりも、万が一の場合は交換すれば良いという割り切りができる点は、SUVとしての使い方を考えると大きな利点です。
DIYで試せるタフトの樹脂パーツ傷消し

交換するほどではない軽い擦り傷や白化であれば、DIYで目立たなくする方法がいくつか存在します。ただし、どの方法にもメリットとデメリットがあるため、作業前によく理解しておくことが大切です。
樹脂パーツ用コーティング剤
最も手軽で安全な方法は、市販の未塗装樹脂用のコーティング剤を使用することです。シリコンやガラス系成分が含まれた液体を塗り込むことで、傷の凹凸を埋め、黒々とした自然な艶を復活させます。白化した樹脂の色褪せにも効果的で、施工も比較的簡単です。 ただし、効果は永続的ではなく、製品によりますが数ヶ月から1年程度で効果が薄れてくるため、定期的なメンテナンスが必要になります。
ヒートガンでの加熱
ヒートガンやガスバーナーで傷の表面を軽く炙り、樹脂をわずかに溶かして傷を目立たなくする方法もあります。これは表面を平滑化させる効果が期待できますが、非常に高い技術を要する方法です。 加熱しすぎると樹脂が溶けて変形したり、表面がテカテカになって不自然な仕上がりになったりするリスクが非常に高いです。失敗すると元に戻せず、交換するしかなくなるため、初心者には全くおすすめできません。
メラミンスポンジでの研磨
ごく浅い傷であれば、メラミンスポンジで軽く擦って傷の角を丸め、目立たなくするという方法も考えられます。しかし、これは表面をわずかに削り取る行為であり、広範囲に施工するとその部分だけ質感が変わってしまい、かえって悪化する可能性があります。あくまで最終手段、あるいは限定的な範囲での使用に留めるべきでしょう。
これらのことから、DIYで対応する場合は、まず樹脂用コーティング剤を試してみるのが最もリスクが低く、効果も得やすい方法と考えられます。
自分で塗装は可能か

傷が深い場合や、イメージチェンジを目的として、樹脂パーツをDIYで塗装するという選択肢もあります。市販されているシャーシ用のブラック塗料や、樹脂専用のプライマー(下地剤)を使用すれば、個人での塗装も不可能ではありません。
しかし、これもヒートガンと同様に、専門的な知識と技術が求められます。未塗装樹脂は塗料の密着性が悪いため、下地処理を丁寧に行わないと、すぐに塗装が剥がれてきてしまいます。足付け(表面の研磨)、脱脂、プライマー塗布、本塗装、クリア塗装といった多くの工程を、適切な環境下で行う必要があります。
また、パーツを取り外さずに塗装する場合は、ボディへの塗料飛散を防ぐためのマスキング作業が非常に重要かつ手間がかかります。もし失敗すれば、ムラになったり、垂れたりして、見た目を大きく損なうことになりかねません。
言ってしまえば、美しい仕上がりと耐久性を求めるのであれば、プロの塗装業者に依頼するのが最も確実な方法です。DIY塗装は費用を抑えられる可能性がありますが、失敗した際のリスクや手間を考えると、安易に手を出すべきではないでしょう。
見落としがちなバックドアも樹脂製

タフトのユニークな特徴の一つに、樹脂製のバックドア(リアゲート)が挙げられます。一般的な乗用車のバックドアはスチール製ですが、タフトでは軽量化やデザインの自由度を高めるために樹脂パネルが採用されています。
この樹脂製バックドアは、錆びないという大きなメリットがあります。一方で、一度大きな衝撃を受けて割れてしまったり、変形したりした場合は、板金修理が難しく、基本的にはバックドア全体の交換対応となります。
データベースの情報によれば、タフトのバックドアはリアガラスや内装の一部と一体構造になっている場合があり、交換となると部品代だけで数万円、塗装費や工賃を含めると総額で10万円を超えるケースも想定されます。バンパーのように気軽に交換できる費用ではないため、後方の安全確認は特に注意深く行う必要があります。
サイドバンパー交換について

タフトの側面下部には、ロッカパネルモールやサイドステップと呼ばれる樹脂パーツが装着されています。これもSUVらしいデザインを構成する重要なパーツで、一般的には「サイドバンパー」と認識されています。縁石に寄せすぎたり、狭い道で障害物に接触したりして、この部分を擦ってしまうケースは少なくありません。
幸いなことに、このサイドの樹脂パーツも独立して交換が可能です。データベースにある情報では、部品代が6,000円前後、交換工賃を含めても1万円から2万円程度で修理できる事例が報告されています。
ただし、注意点もあります。もし、樹脂パーツの奥にある金属製のボディフレーム(サイドシル)まで凹んだり変形したりしている場合、話は変わってきます。その場合は板金修理が必要となり、費用は5万円以上に跳ね上がる可能性も考えられます。樹脂パーツを交換する前に、内部に損傷が及んでいないかを確認することが大切です。
タフトの樹脂パーツ交換費用を部位別に解説

- フロントバンパー修理にかかる費用
- リアバンパー交換費用の目安とは
- リアフェンダー取り外しと注意点
- 総額は?タフトのバンパー交換費用まとめ
- タフトの樹脂パーツ交換費用を総括
フロントバンパー修理にかかる費用

タフトのフロントバンパーは、デザイン上いくつかの樹脂パーツで構成されています。そのため、損傷した箇所によっては、バンパー全体ではなく部分的な交換で済む場合があります。例えば、バンパー下部のコーナー部分だけを交換するといった対応です。
データベースの事例を参照すると、フロントバンパーのコーナー部分(樹脂パーツ)を交換した場合、部品代が約2,500円、交換工賃を含めても1万円前後で修理可能なケースがあります。ただし、これはバンパーを一度取り外す作業が必要になるため、依頼する工場によって工賃は変動します。
もし、バンパー本体に大きな亀裂が入ったり、フォグランプやセンサー類の取り付け部分が破損したりした場合は、バンパー全体の交換が必要です。その場合の費用は、部品代と工賃を合わせて3万円から5万円程度が目安となります。
リアバンパー交換費用の目安とは

リアバンパーもフロントと同様に、傷や凹みがつきやすいパーツです。バックでの駐車時にぶつけてしまった場合などが主な原因でしょう。リアバンパーも樹脂製のため、大きな損傷の場合は交換が基本となります。
交換費用は、部品代と工賃を合わせて2万円から4万円程度が一般的な相場と考えられます。インプットした情報の中には、右コーナー部分の交換で約18,000円という具体的な事例もありました。
リアバンパー交換で注意したいのは、バックソナー(障害物センサー)の有無です。センサー付きのバンパーは部品代が高くなるほか、交換後にセンサーの調整(エーミング)が必要になる場合があり、追加で工賃が発生することもあります。修理見積もりを取る際には、センサー関連の費用が含まれているかを確認すると安心です。
リアフェンダー取り外しと注意点

タフトのタイヤ周りを覆う黒い樹脂パーツは「フェンダーアーチモール」と呼ばれ、これも交換が可能です。特にリアフェンダー部分は、内輪差などで巻き込み、擦ってしまうことがあります。
このリアフェンダーアーチモールが取れてしまったり、割れてしまったりした場合、部品代は数千円程度です。交換工賃を含めても、1万円から2万円程度で修理できる可能性が高いでしょう。
ただ、このパーツは複数のクリップでボディに固定されています。DIYで取り外しや交換を行う場合、無理に引っ張るとクリップが破損したり、ボディ側の取り付け穴を傷めたりする恐れがあります。また、経年劣化したクリップは脆くなっているため、再利用できずに新しいクリップが必要になることも少なくありません。作業に自信がなければ、専門の業者に依頼するのが無難です。
総額は?タフトのバンパー交換費用まとめ

タフトのバンパー関連の交換費用は、依頼する業者によっても大きく変動します。ここでは、一般的な依頼先であるディーラー、カー用品店、板金工場の3つの視点から、費用の目安を比較してみましょう。
部位 | ディーラー | カー用品店 | 板金工場 | 備考 |
フロントバンパー(部分交換) | 15,000円~30,000円 | 12,000円~25,000円 | 10,000円~20,000円 | 損傷箇所により変動 |
フロントバンパー(全体交換) | 40,000円~60,000円 | 35,000円~55,000円 | 30,000円~50,000円 | センサー有無で変動 |
リアバンパー交換 | 30,000円~50,000円 | 25,000円~45,000円 | 20,000円~40,000円 | センサー有無で変動 |
サイドバンパー(片側) | 15,000円~25,000円 | 12,000円~22,000円 | 10,000円~20,000円 | 内部損傷がない場合 |
フェンダーアーチモール(1箇所) | 10,000円~20,000円 | 8,000円~18,000円 | 7,000円~15,000円 | クリップ代含む |
※上記はあくまで目安であり、部品代の改定や工賃設定により変動します。
ディーラーは純正部品を使用するため安心感が高いですが、費用は最も高くなる傾向にあります。一方で、板金工場は中古パーツの使用や柔軟な工賃設定により、費用を抑えられる可能性があります。複数の業者から見積もりを取り、内容と費用を比較検討することが賢明な方法と言えます。
タフトの樹脂パーツ交換費用を総括
記事のポイントをまとめます。
- タフトはデザイン性と機能性から多くの未塗装樹脂パーツを採用している
- 樹脂パーツは傷がつきやすいが交換を前提としており修理費用を抑えやすい
- 軽い傷や白化はDIY用の樹脂コーティング剤で目立たなくすることが可能
- ヒートガンや塗装によるDIY修理は高い技術を要し失敗のリスクが伴う
- タフトのバックドアは樹脂製で交換費用は比較的高額になる傾向がある
- サイドバンパー(ロッカパネルモール)は1万円台から交換可能な場合が多い
- フロントバンパーは損傷箇所により部分交換か全体交換か判断が分かれる
- リアバンパー交換時はバックソナーの有無で費用が変動する点に注意
- フェンダーアーチモールは比較的安価に交換できるパーツの一つ
- 交換費用はディーラー、カー用品店、板金工場で異なり相見積もりが有効
- ディーラーは純正部品で安心だが費用は高め
- 板金工場は中古パーツ活用などで費用を抑えられる可能性がある
- 修理見積もりでは部品代と工賃の内訳をしっかり確認することが大切
- 傷の奥にあるボディフレームの損傷の有無が総額を大きく左右する
- タフトの樹脂パーツ交換費用は損傷部位と依頼先によって大きく変わる